病院に紹介状を出す際のポイント

整骨院ではどうしても対応できない傷病に対して、医師と連携する事は非常に重要です。


例えば骨折の多くは整形外科で治療した方が予後が良いです。

腱板の石灰沈着ならば保存療法よりステロイド注射の方が患者さんが早く楽になります。

アキレス腱が断裂しているなら整形外科で手術もしくはギプス固定になるでしょう。

椎間板ヘルニアや腰椎分離すべり症疑いならまず画像診断をしてもらうべきです。

画像診断を行い、確定診断されて患者さんが安心する事も重要です。


このような場合に紹介状を出すことになるのですが、紹介状のフォーマットは整骨院業界で共有されていません。なので、私は自分でフォーマットを作っています。こちらのリンクをクリックしていただくと、紹介状のPDFが置いてあります。必要な方は是非お使いください。

➡ ≪紹介状 ひな形 ダウンロードページ≫

私は乱筆で字を書くのが苦手なので、ワードやエクセルで打っていますが、エクセルをアップするのは難しいのでPDFのみですがどうぞお使いください。


さて、紹介状を出す際に患者さんの情報を書き込むのですが、この時に気を付けなければいけないのは以下です。

「極力、客観的事実のみを書く」

「こちらでどのような処置をしたか、その結果どうなったかを書く」

「自分の見解や傷病判断は書いたとしてもあくまで『~の疑い』として書く」



たとえば胸の受傷で患者さんが来院し、肋骨骨折を疑っているなら以下のように書いてます。


_______________________ 

Gクリニック御中 G院長先生御侍史

 かわもと鍼灸整骨院 川本高史

患者 M田S江様  性別 女性

生年月日 〇年〇月〇日

この度、患者様をご紹介させていただきます。

_______________________

症状・既往歴・主訴・自覚症状等

4月12日、風呂場で転倒し浴槽で胸を強く打った

寝返りをすると打ったところが痛むため

〇月〇日に当院受診

呼吸の際にも疼痛発現するとの事です

_______________________

施術・経過・状態等

左下部肋骨付近に圧痛、叩打痛、介達痛が見受けられます

胸部バンドを施すと呼吸痛はやや緩和しましたが

年齢、機序から骨折等の重篤な疾患の疑いがあると考え

念のため専門医での精査の必要性を伝え、貴院への受診を促しました


先生にはご高診の程、よろしくお願いいたします

記入日 〇年〇月〇日

_______________________ 


紹介状記入のポイントを書きます

〇 ~クリニック御中 ~先生御侍史 

 医師同士で紹介状を書く時の定番フォーマットです。こう書いているかどうかで、紹介状の信用度が上がります。かならず院名の後に「御中」、先生の名前の後ろに「御侍史」と書きましょう。もし先生の名前が分からない場合は「外来担当医先生 御侍史」が良いでしょう。ちなみに「御机下」も御侍史の代わりによく使われます。昔からある、文章を書く際の敬語表現です。お好きな方で。


〇 経過・処置などは事実のみ

書いている内容を読めば骨折であることがほぼ90%くらいありそうですが、確定診断名を私たちが書くのは失礼にあたります。私の場合は「骨折”等”の重篤な疾患」と書くようにしています。先方は専門医です。我々でも気づく事は、文章だけですぐ察していただけます。

 例えばヘルニア疑いなら「SLRテスト陽性」で十分。前十字靭帯損傷疑いなら「ラックマンテスト陽性」で十分。腱板断裂疑いなら「棘上筋と大結節付近に強い圧痛と熱感」で十分です。


〇 ご高診のほど、よろしくお願いいたします。

これも医師同士で紹介状を書く時の定型文です。必ず入れましょう。紹介状の信用度が上がります。


〇 紹介状の記入日を書く

これは必須です。何故か。昔の話を書きます。

前十字じん帯損傷を疑う方が来院。整形外科に行っていただくことになり紹介状を渡しました。そのまま患者さんが来なくなったので先方で見てもらっているのだろうと思っていました。ところが、1か月くらいしてから整形外科から電話がかかってきました。

「○○さんが受傷してから1か月も経って当院にいらっしゃいました。1カ月もそちらではどのようにされていたのですか?」

とまるで責めるような電話。カルテを確認し、受診日にすぐ紹介状を渡したことを伝えました。

「〇月〇日に受診されていますが、その後は受診されていません。今日通院されたのですか?こちらは受傷されてすぐ紹介状を書き整形外科に受診するようにお伝えしました」

「え、そうなんですか。そちらでずっと通院していたのではないのですか」

「はい、受診日にすぐ紹介状を書いてお渡ししました」

となった事があります。つまり、患者さんが紹介状を渡したのに1か月も放置して、それから受診されたのです。しかもじん帯は予想通り切れてました。痛いはずなのに、なぜか1カ月も放置しておられたのです。びっくりです。

この時、紹介状には記入日を書いていませんでした。書いていれば、医院側も察してくださったでしょう。

その事があってから、必ず紹介状には記入日を入れるようにしています。


〇 紹介状は当日ではなく後日にお渡ししてもよい

今からすぐ、となると難しいですが、明日以降に整形外科へ受診されるなら

「病院に行く前にお渡しするので、その前に取りに来てくださいね」

とお伝えし、業務が終わってから作成するのがおすすめです。

焦って書くと記入ミスしますからね。


〇 コピーを必ず取り、手元に保管する

紹介状はコピーを取っておくのも非常に重要です。

記録が残る事は医療ではとても重要な事ですが、特に骨折疑いで紹介状を出し、レントゲンで実際に骨折が確定した場合、紹介状のコピーを当該患者さんのレセプトに添付すると骨折の応急処置による施術料算定が通りやすいです。また、情報提供料(文書料)も算定できます。

レセプトに添付する場合はコピーのコピーを添付し”元のコピーは手元に残して”おきましょう。何かしらトラブルがあった時に、我々を守ってくれます。


〇 骨折疑いの場合は、患者さんに確認する

整形外科の先生に骨折だったかどうか問い合わせるのは結構失礼な行動になりますので注意です。

骨折かどうかは当該患者さんに「骨折してたかどうかカルテとレセプトに記載する必要があるので、診察が終わったら教えてくださいね」と伝えておくのが良いです。連絡が無いときに、お電話しやすくなります。


紹介状は、地域で整骨院を長くやっていくためにとても重要なツールです。このコラムが皆さんの一助になれば幸いです。


治療家向けコラムTOPへ戻る        サイトTOPへ戻る