肩の運動に重要な筋は、実は背中にある
肩関節の運動に重要なのは、実は背中にある筋肉です。ところが肩痛を持つ人の痛む部位は肩の前の辺りです。これが肩関節治療の難しさにつながっています。
肩関節の痛みが起こった場合、自覚症状としては肩の前部分、解剖学的には大結節と呼ばれる部分の回りに痛みを発することが多いです。そして、もちろんその大結節付近も治療対象です。
ところが、大結節付近の痛みを取ったにもかかわらず運動するとまた痛みを発してしまう人が多いです。この場合、多くの人が「加齢だから仕方ないね」「痛みと付き合っていくしかないね」といわれてしまいます。
実は肩関節の運動において、もっとも重要な筋肉は背中側なのです。この背中側についている筋肉の働きが悪いと肩関節のストレスが増大し、肩の前側の痛みを起こします。
なので、肩の痛みがある部分のみの治療・ケアを行った場合、確かに痛みは治療後に取れるのですが運動するとまた痛くなってしまう事を繰り返してしまいます。
これはなぜか。
実は、肩関節の機能を回復させるには、大結節付近の組織へのアプローチだけでなく
〇 僧帽筋(中・下部)
〇 三角筋後部
〇 広背筋
〇 前鋸筋
といった、肩関節治療としてはややマイナーな筋肉にもアプローチをしていく必要があるからです。
特に広背筋や僧帽筋下部といった、肩甲骨を後ろに引く(内転)動作を司る筋肉が弱いと、肩甲骨の可動が小さくなり、その分の可動域を代償運動しようとして関節に無理が生じてしまいます。これが痛みを引き起こすことが多いのです。
そのため、当院のアプローチとしては僧帽筋や広背筋といった、一般的に肩関節治療であまり重要視されていない筋肉にも治療を行っています。他のところに通っても痛みが取れなかった方、ぜひ当院にご相談ください。
また、肩関節痛を防ぐトレーニングとして、ラットプルダウンのような上から引き付けるような動作での広背筋トレーニング、セラタスプッシュアップと呼ばれる肩甲骨の運動を意識した腕立て伏せなどを行うと肩の痛みを予防することができます。こちらもぜひトライしてみてください。
補足
前鋸筋や僧帽筋下部が肩関節運動に重要なことを示す論文のリンク
英語ですが、グーグル翻訳で読めます
➡ 症状のあるオーバーヘッドアスリートにおける肩甲骨運動異常の運動パターン