腰椎椎間板ヘルニア急性期と

ギックリ腰の違い

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急性期(=受傷が新しい)の腰椎椎間板ヘルニア(以下腰椎ヘルニア)とギックリ腰の違いは

画像診断が無いと難しいと考えられていますが

視診と徒手検査でおよそ7割~8割は見分けられると考えています


何故なら、急性期腰椎ヘルニアはとても特徴的な症状が出るからです 


但し、慢性期(例えば半年以上前受傷)の物はおそらく鑑別は無理です

あくまでも受傷1~2週間程度のもので

かつ急性の腰痛症状が出ている物、という前提でお願いします



ポイントは3つ

① SLRテストが強度の陽性(下肢挙上が30度を越えられない)

② 疼痛性側弯がある:患者さんの体幹が不自然に横に曲がって見える

  (へそが曲がってしまった、という訴えがある事もある)

③ 1~2週間以内に急性憎悪した

  (痛くなったきっかけが分かれば情報は増えるが分からない人もいる)


上記がそろっている場合は急性期腰椎椎間板ヘルニアを強く疑います


少なくとも、①があれば急性期腰椎ヘルニア、もしくは分離すべり症など

腰椎部の器質的問題が出ている事は確定です


ちなみに慢性期のヘルニア(半年以上前に受傷)の場合は

SLRが45度以上まで上がることが多いですし

下肢挙上60度を越えられる場合なら、腰痛があったり

画像上でヘルニアまたはそれを疑う所見が見つかったとしても

疼痛症状とヘルニアの関連性は薄い事が多いです

(逆に言えば疼痛症状の改善が出来るはずで、出来るようにならないといけません)



逆にSLRテストが30度以下の人は

施術で何とかしようとしても無理だと思います

椎間板ヘルニアという「腰椎部組織の破壊」が起こったばかりなので

筋肉や靭帯にアプローチしても痛みは取れません

アイシングと固定処置がせいぜいです

すぐに信頼できる整形外科に送りましょう


②の訴えがある場合、経験則ですが9割以上は腰椎ヘルニアでした

②の訴えがあったら念のためSLRはしますがほぼ陽性なので

RICE処置後、即座に近隣の整形外科を受診してもらいます

「へそが曲がっている」と言われたり

若い人がはた目に分かるくらい腰部で側弯している場合は

その時点でヘルニアがあるという前提で動いています


③は条件というより、急性かどうかの鑑別です

①と③がそろえば②が無くても6~7割は急性期腰椎ヘルニアと考えます


ここで、胸腰椎移行部圧迫骨折との鑑別が必要だと考える人もいるでしょうが

年齢(ヘルニアは現役世代、骨折はやせ型の高齢者)

②の違い(ヘルニアは疼痛性側弯有、骨折はあまり側弯せず屈曲が強い)

などである程度鑑別出来ます


高齢者で急性期腰椎ヘルニアになる人はスポーツをしている方や

現役で重い荷物を運ぶ仕事をしているなどで

体格ががっちりしている(おそらく骨密度も高い)方がなりやすい印象です

しかも疼痛性側弯がはっきり出た人は今のところ見たことがありません

①と③で鑑別する事が多かったと思います


(分離すべり症の急性期についても書きたいのですが、怪しいと感じる感覚的なものがなんとなくはあるのですが客観的な指標が書けないのでここでは割愛します)


かなり長くなってしまいましたが

今後は若い患者さんに

「先生、へそが曲がってて、体が痛くて動かないんです」

と言われたら急性期ヘルニア疑いだ、と思って

緊張感をもって当たる事をお勧めします


そしてSLRテスト等の鑑別でこれは疑わしい、と思ったら

信頼のおける整形外科を紹介し、確定診断と急性期処置をお願いする事が

患者さんの体を守ることにつながると思います


慢性期ヘルニアの話は機会があれば、