「治療家」になるとはどういうことか?

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「私は、ただただ体をもむだけのマッサージ屋ではなく、治療家になりたいのです」

 若い先生と話すと、良く聞く言葉です。

 そして、私も若い頃はそういう志(こころざし)を持っていました。

 漠然とですが「治療家になりたいな」とずっと考え、そのために研鑽を積みました。


 では、現在業界キャリア20年を越えた私が「お前は治療家になれたのか」と問われた時、どう答えるのかを考えてみました。

 そして、現時点でのその答えは

「私はいつも治療家でありたいと考えて仕事をしている」

です。


 治療家になれたかどうかを問うているのに、なんだその答えは。

 まるで禅問答ではないか、答えになっていないじゃないか。

 皆さんはそう考えるかもしれません。

 しかし、私の中ではこれが答えです。


 まず、この質問に答えるには、「治療家になる」とはどういうことかを考える必要があります。


 さて、一般に我々柔整鍼灸業界の人間がイメージする「治療家」とはどんな人でしょう。

 いくつか挙げてみますと

1 色んな治療方法を知っている人

2 どんな疾患でもたちどころに治してしまう人

3 様々な経験を積んでいて、どんな状況でも対処できる人

 ぱっと思いつく範囲で例を挙げると、このような人でしょうか。

 皆さんがイメージしているのも、このような人が「治療家だ」と感じるのでは、と思います。


 しかし、この答えは私の中ではすべて60点です。


 1の人。

 確かに、色んな治療方法を知って、使いこなすなら凄い事です。

 しかし、それは本当に「体を治す」に繋がるのかというと、実はそうではありません。


 例えば、私はカイロプラクティックも少し学んでおり、色んな技術を「知って」はいます。

 しかし、カイロ業界を(狭い範囲ですが)見てきてよく見た人はこんな感じです。


> 自分の知っているテクニックをとにかく使う。色々と使う。

> 患者さんに「どうです、良くなったでしょう?」という。

> 患者さんは「そうですね、良くなったと思います」と返事する。