交通事故の症例1 むちうちの治療

後ろから追突され、事故に遭ったMさん

車が衝突した強い衝撃で体が揺られ、むち打ちになってしまい

色々と手続き後、当院に受診されました


基本通りに首の動きを見ていきます・・・と言いたいのですが

むちうちのように、強い衝撃でケガをした場合

かなり患部を痛めており、そもそも首を動かす事が出来ません

ズキズキとした痛みも感じておられ、かなり辛いご様子です

ですので、無理に可動域確認のテストはせず、すぐ治療に入る事にしました


通常の寝違え等であれば適切に処置すれば2~3日

酷いものでも3~10日ほどあれば回復してきますが

本当にひどいむち打ちは3~6カ月ほどかかる事も多いです

これだけで、むちうちはすごく酷い怪我だ、という事が分かりますね


まず大事なのはやはり患部のアイシングです

ぎっくり腰や捻挫などではアイシングは当然、の処置ですが

むち打ちでアイシングをする整骨院は、患者さんに聞くと何故か凄く少ないようです

しかし、上記の様にひどいケガであることは間違いありません

Mさんも首もかなり発熱しており、ケガの度合いが酷いと推察されました

ケガであれば基本のRICE処置、つまりアイシングが重要になってきます


Mさんにアイシングを施すと、少し痛みが和らぎました

アイシングで患部の痛みを落ちつけてから手技療法を行います

手技療法をすると刺激が強く、かなり痛いご様子です!

慎重に、ご本人が耐えられる範囲の刺激量で治療していきます


本当は、鍼治療を併用するとかなり回復が早まるのですが

Mさんの場合、鍼治療の時間帯に来院が難しいため

今回は手技療法のみで治療していく事になりました


ひどいむち打ちの場合、もう一つ重要なのは 

「頸椎カラー」の使用です

ところがMさんは営業職の為、頸椎カラーの使用を拒否されました

お客さんの前では出来ない、との事です

仕方ない事なので、その代わり治りが遅くなる事を伝えます


仕事の都合で通院がなかなか取れず、週1~2回の治療になります

アイシングと手技療法の併用をなんと1カ月半

やっと患部の熱感が落ち着いてきました!

触っても熱くなく、患部の緊張も少し落ち着いてきています


かなりひどいぎっくり腰でも、アイシングをするのは2~4日ほどですが

交通事故の場合はこんなに時間が掛かってしまうんですね


ここからアイシングなしで治療を進めていきます

しかし、首から肩にかけての「もやもやした感じ」と痛みが取れません

Mさん曰く、治療直後は楽だが、二日ほどで戻ってしまうとの事


ここで、もう一度「頸椎カラー」を付ける事をお薦めしてみます

渋るMさんに「移動中や会社にいる間だけでも、試してみて下さい」と伝え

頸椎カラーをお渡しします


ところがこれで劇的に、私もびっくりするくらい改善!

「寝て起きた時が全然違うんです」との事

車庫入れで後ろを振り向いたり、ちょっと横の人に話しかける事も出来なかったのに

どんどん動きが良くなってきました

Mさんもうれしいのか「お客さんの前以外ではずっと着けてます」

と言っていただけました


このおかげで大体4カ月目で痛みも改善しつつありましたが

患部の放散痛、可動域の最終段階がなかなか良くなりません

ここで骨格矯正治療を挟んでいく事にしました


交通事故の衝撃で骨格もゆがんでしまっているので

骨格・骨盤矯正は有効な治療法なのですが

「熱感」や「頸椎の強い痛み」があるときは関節への負担が強く

骨盤・骨格矯正は出来ません

しかしここまで回復すれば大丈夫です


手技療法と併用して骨格矯正を何度か行います

これで可動域の制限はほぼなくなり

6カ月目、後遺症もほぼなくなり、終了する事が出来ました


この治療でのポイントは

1 むち打ちは、アイシングをかなり長期間しないといけない

2 患部の安静(=REST)の為に頸椎カラーはかなり有用

3 熱感と強い痛みが取れた段階で骨盤・骨格矯正を行えた

4 そして順調に回復したが、それでも6カ月の期間制約で治療はぎりぎりだった

という事です

注:6カ月という期間は交通事故では重要です ➡ 「交通事故6カ月の意味(作成中)」


軽い症状の方は大体3カ月程度で終わる事も多いですが

この症例では週1~2回の通院で6カ月、MAXの期間掛かってしまいましたが

後遺症もなく、何とか期間内に治療が終わってほっとした症例でした